イソフラボンは体調を整えたり、美肌効果をもたらしたりと、健康や美容効果が注目されている成分です。
特に女性に摂ってもらいたいイソフラボンですが、妊娠中は摂取方法に注意が必要とされています。
それは一体なぜなのか、今回は妊娠中のイソフラボンの摂取方法についてみていきましょう。
厚生労働省が示した「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品(トクホ)の取り扱い指針」によると、妊娠中や授乳中はイソフラボンを摂取してはいけない、としています。
これは、妊娠中や授乳中は、イソフラボンをどれだけ摂取すれば安全なのか、科学的に明らかになっていないことが理由です。
つまり、少々多めに摂取しても健康上の問題はない可能性がありますが、はっきりと安全が確認できていないため、妊娠中は摂取を控えておきましょうという考えです。
この指針が適用されるのはトクホの他、イソフラボンを濃縮・強化した食品も含まれています。
また、サプリメントも該当するため、妊娠中にイソフラボンを摂取する場合は、通常の大豆製品が推奨されています。
ホルモンバランスを整える働きは、イソフラボンの大きな特徴の1つです。
妊娠中はこの働きが胎児に影響を与えてしまうため、サプリメントの摂取は控えなければいけません。
女性の身体は「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類の女性ホルモンが分泌され、心身の機能を維持しています。
妊娠中はこの種類のホルモンがバランスを保ち、胎児の成長に重要な役割を果たしています。
ところが、イソフラボンはエストロゲンと似た働きをする作用があるため、身体はエストロゲンの分泌量が増えたと勘違いをして、ホルモンバランスが崩れてしまうのです。
イソフラボン自体の作用は穏やかですが、サプリメントから摂取した場合は過剰摂取になる可能性があります。
その結果、胎児の成長、特に生殖機能に影響を与えてしまうのです。
また、乳幼児や小児もエストロゲンの影響を受けやすく、イソフラボンの作用が生殖器の発達異常を引き起こすリスクを高めてしまいます。
過剰となる具体的な量は未だ明らかになっていませんが、サプリメントの作用が強く出てしまう可能性も否定できないため、摂取は控える必要があります。
妊娠中や授乳中は、イソフラボンのサプリメントでの摂取は控えるべきとされています。
ですが、イソフラボン自体には女性の身体を整える働きがあり、妊娠中や産後を健康的に過ごすために、通常の食品から積極的に取り入れたい成分です。
妊娠中、特に初めての妊娠は、出産への不安からうつを発症する方も珍しくありません。
イソフラボンのホルモンバランスを整える働きは、妊娠中のうつの防止にも期待できます。
愛媛大学や東京大学などの共同チームの報告によると、妊娠中に大豆製品を多く摂取した方ほど、妊娠中のうつになるリスクが低下する可能性があるとしています。
妊娠中にお母さんの体調が
また、エストロゲンは乳腺の発達に作用します。
イソフラボンはエストロゲンの働きを補うので、母乳がしっかりと出るようになります。
イソフラボンには血小板の凝縮を抑える働きもあり、血液を固まりにくくしてくれます。
母乳のもととなる血液がサラサラになるので、母乳の詰まりを防ぎ、乳腺炎の予防にも効果を発揮します。
豆腐には良質なたんぱく質が豊富に含まれています。
妊娠中は赤ちゃんに栄養を送り届ける必要があるため、普段より体重が増加してしまいます。
また、つわりの影響であまり食べられない場合もあります。
妊娠中はカロリーが少なく、食べやすい豆腐からイソフラボンを摂取するとよいでしょう。
豆腐には良質なたんぱく質が豊富に含まれているので、基礎代謝を向上させ、脂肪が燃焼されやすくなります。
また、イソフラボンがホルモンバランスを整えることでも脂肪が燃えやすくなるので、産後に体重をスムーズに落とせるように、体調を整えることができます。
食品安全委員会では、1日に摂取できるイソフラボンの上限値を、70~75㎎を目安と定めています。
このうち、サプリメントなどで上乗せして補う場合は30㎎までとしています。
妊娠中の場合も目安となる上限値は同じですが、サプリメントからの摂取は推奨されていません。
万が一上限を越えて摂取したからといって、すぐに体調に異変があらわれるものではありませんが、妊娠中の身体はとてもデリケートなので、普段以上に摂取量には気をつける必要があります。
そのため、妊娠中は食事量の範囲で、大豆製品からイソフラボンを取り入れていきましょう。
イソフラボンは、ホルモンバランスに影響を与えるため、長期間に渡って過剰に摂取すると体調を崩してしまう場合があります。
特に妊娠中は、母子ともに健康でいられるように、ホルモンバランスの調整が重要です。
日本人は伝統食として豆腐・納豆・味噌・しょうゆなどの大豆製品を昔から日常的に摂取してきました。
その長い食経験の中で、大豆製品による健康への有害な影響を提起されたことがないため、これらの食品は心配することなく摂取できます。
そのため、妊娠中は食事からイソフラボンを摂り、ホルモンバランスを整えていきましょう。